ビビリ心、親心。(赤ちゃんの爪切り・鼻掃除の巻)

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赤ちゃん、それは生きているのに壊れそうな愛らしきものである。
最初はおっぱいを飲むのもヘタだし、寝るのもヘタ。
食欲と睡眠という、生きていくためにかなり重要度の高い欲求を自分の力で満たすのがヘタって、自然界においても珍しいのではなかろうか。

そんないろいろ自分ですることがヘタで小さくてふわふわした赤ちゃんが生まれた直後から、これまで経験がなかったのにいきなり

「はい、世の中に出てきました〜あなたがママです。あなたがパパです。
 じゃ、がんばって!」

っていうのが子育てのスタートだ。
入院中にちょこっと教えてもらえるのは、抱き方、おっぱいのあげかた、げっぷのさせかた、オムツのかえかた、沐浴のしかたかな。
その他の小さなこと、たとえば爪の切り方だったり、鼻掃除だったり、便秘のときの対処だったりは、退院後にぶっつけ本番だったりする。

この「その他の小さなこと」が意外とクセモノで、
爪切り…伸びっぱなしだとひっかいて痛い
鼻掃除…鼻水・鼻クソが取れなきゃ息苦しい(特におっぱいを飲むとき)
便秘…出なきゃお腹が張って苦しい
等、赤ちゃんの不快感を伴うものでできるだけ早く解決しなければならない。
でも、病院に行くほどのものでもない。

解決する方法として、
爪切り…爪切りで切る
鼻掃除…赤ちゃん用綿棒で取る
便秘…マッサージでダメなら赤ちゃん用綿棒で刺激する
などがある。
もちろん解決方法は一つではないが、いずれにしても、体の一部を切ったり、体の一部に何かを突っ込んだりすることが多い。
で、それが怖いのだ。なぜならはじめてだから。

どれぐらい切ったり、どれぐらいつっこんだり、またそれをどれぐらいの力加減ですればよいかわからない。
なんだろう、スラムダンク桜木花道みたいな。
「左手は添えるだけ」って自分のとなりにたってアドバイスをしてくれる人が欲しい。

私は里帰り出産だったので実家だったのだけれど、
「爪切りたいんだけど…どれぐらい切るの?」と聞いたら
「白いとこちょっと残して切りなよ、わたし、老眼だから無理だけど」
と、おばあちゃんにあたる人からは「自分でGO」という指令が。

恐る恐るハサミタイプの赤ちゃん用爪切りで自分で切ってみたら、こんなにも動揺が爪の先に反映されるのかというぐらいガタガタでギザギザに…。

そんなときに偶然近所に住んでいる妹(2人の子持ち+当時1人妊娠中)が来て「おねえちゃん、これ、ほんとに切ったの?全然切れてないじゃん。ちょっとそのハサミかして!」と、
ちょちょちょいっと、同じ道具を使って目の前でキレイに切っていった


自分の爪切りスキルとハサミに見切りをつけ、amazonで赤ちゃん用爪やすり(高いやつ)を検索していた私にとって、一筋の光が差した瞬間だった。

鼻掃除も同様で、
おっぱいを飲みながら「ブヒーブスー」と苦しそうな音を出していた娘にオロオロしていた私だったが、母(娘からみるとおばあちゃん)が、お風呂上がりに綿棒で鼻の穴をくるくるっとしたら、「芋づる式」というコトバを鼻クソそのものに書いてやりたいぐらいの立派なものがズルズルズルっと出てきた。
これほどのものがどこに収納されていたのか…とミステリーだったが、とにかく気持ちよさそうで「ブヒーブスー」もなくなった。

母にしてみたら、朝飯前だったと思うが「ブヒーブスー」を解消せねば…とドキドキしていた私からすればまさに救世主。

「これぐらいの力でこうすれば、問題は解決するし、赤ちゃんも壊れない」というのを見られることがこんなにも助かるのかと思った。ありがたや。

そのあとは自分でするようになり、手の爪を切るときは頭側に、足の爪を切るときは足側に自分の体を配置したほうがなんとなくラク、など少しずつ上達した。
できるようになってしまえば、なんてことはないことでも、初めてはいつもビビリだ。

産後って、ただでさえわからないことや不安も多いので、
こうした「その他の小さなこと」が気軽に聞けると小さなストレスが減るし、
その小さなストレスを乗り越えることで小さな自信が生まれるのになぁと思う。

小さなストレスを乗り越える方法として
1.入院中に聞けること(予測できそうなこと)は入院中にちょっとやり方を教えてもらう
2.親や友人など、子育て経験がある人に実際にやってもらう
3.保健師さん等に聞く
が、ある。

3は「何か心配なことや困っていることないですか」と聞いてくださるが、そもそも「こんな小さなこと聞いていいのか」が先立つので、赤ちゃんの一部を切ったり、一部に何かつっこんだりするような作業は最初からヒアリングシートに入ってるといいのにな〜。あとやっぱりやってるとこみせてほしいな〜。

気持ち的には、「小さなはじめて」みたいな子育てアプリがあってもおもしろいかなぁと思う。
よく「初めて〜したのは」を聞かれるのは赤ちゃんのほうだけど、このアプリは親側だ。
「初めての爪切り」「初めての鼻クソ」「初めての予防接種」…
親としての初めてのビビリを共有することで「あぁ、ビビリはわたしだけじゃないのね。みんなビビリながら親になるのね」という気持ちになれる。
そして、動揺がばっちり爪の先に反映された私の失敗のように、どう失敗したか、どう乗り越えたかを項目ごとに書き込み合うと解決方法も共有できるし、多くの人が書き込めば書き込むほど人数分の乗り越え方がたまる。
里帰りできる人もいればできない人もいるし、一人で育てている人もいるし、双子の人もいるし…ということで環境がいろいろであれば、解決のために利用できるリソースも異なるので、乗り越え方は複数あったほうがいい。
「小さなはじめて」の日付や写真を記録できると思い出にもなる。



いいな〜「小さなはじめて」アプリ、いいな〜と爪切りと鼻クソだけで妄想しつつ、
ビビリがわたしだけだったりしたらどうしよう。